偽善愛で夢を見て。
に。
「ね、やらないの?」
ソファに座って、かったるそうにテレビを見る悠史に尋ねた。
何だか、私痴女みたいじゃない?
まあ、今さら淑女とは言わないけど。
それでも変態扱いは御免だ。
つまらない一発芸を連発する低俗なお笑い芸人から視線を反らし、漆黒の目が私を見る。
射ぬかれたような感覚を身に受けつつ、視線を浴びる。
やがて、盛大なため息を吐いた。
「風呂、入ってこいよ。」
沸かしてあるから、と言われ首を傾げる。
誰か来る予定だったのか。
迷っているように見えたのか、悠史は舌打ちをして私を抱き上げた。
慌てる必要も、戸惑う必要も皆無だからされるがまま。
脱衣場に下ろされてそのままUターンしていく。
今日の悠史は、何だか変だ。
気になったけれど、お風呂に入ることにした。
熱いお湯が体を包む。
勝手に入浴剤を入れてやった。
白濁の色にミルクの匂い。
この会社の入浴剤が一番落ち着く。
体を伸ばして、肩を回す。
素敵なバスタイムは、暫く続いた。