偽善愛で夢を見て。
さん。
「ばいばい。」
昼過ぎに来たのに、もう朝の8時過ぎ。
つまりは泊まったということで。
ずっとやり続けただけ。
行為を終えて、ベッドの上で息を整えていた。
どこか儚そうに悠史が口を震わせる。
紡がれた音が、
言葉に変わり、
耳に届く。
変換されて、理解するのに時間がかかった。
『俺、好きな女が出来た。』
それはつまり、こういう関係を止めたいということ。
喪失感を感じた。
都合のいい、楽な関係だったからこそ、私は気に入っていたのに。
だけど、本気な人が出来たなら仕方がない。
取り繕うような笑みを貼り付けた。
それから、当たり障りない言葉を。
どちらも終わりは言わなかった。
いつも通りに、終わらせた。
もう通ることのなくなる道を、ゆっくりと歩いた。
振り替えることはなく。
ただ、楽しかった遠足が終わるのを惜しむ子供のような気分で。
まっすぐ家には帰れなかった。
何故だろう、無性にセックスがしたくなった。
思い付いたのが、幼なじみなんて。