コイゴコロ
「じゃあ有紗行こう!」
晴美について行くように後ろを歩く。教室のドアから廊下へ出ようとするところで、廊下が騒がしいのに気付いた。
気にはなったが、廊下に出なければ美術室に行けないので、そのまま晴美の後を追って廊下に出る。
と…次の瞬間。
ぐっと左腕を掴まれる感触がすると、後ろに引っ張られる。
「えっ!?」
突然の事にバランスを崩せば、誰かの身体にぶつかった。
ビックリしながらその相手を見上げれば……
「えっ?有紗!?…ってえ!?城山君!?」
前を歩いて居た晴美が、立ち止まって私たちを見る。
この状況はなんだろう……
私は彼にパーカーを返したわけで。
もう関わることも無いはずで。
女子たちが遠目で騒いでいる中、
晴美が立ち止まって驚いた顔をしていて、
それらの目線を独占するように立つ城山君と、城山君に腕を掴まれた私。