コイゴコロ
内心ホッとする。
傍に居たいなんて言われて、どう答えれば正解なのか分からないから。
誰にもそんな事言われた事無い。
友達って自然と出来て、自然と一緒に居るものだと思う。
しかし、城山君の場合は初めから私が警戒して壁を作っていて、
決して友達になれない雰囲気なのに、無理矢理城山君が入ってこようとしている様に見える。
城山君は私のどこが良くて友達になりたがっているのだろうか…。
「なるほど、佐々木さんの作品は拝見した事あるんだけど、今日のデッサンの仕方はぼんやりしてる感じがあるね。感情そのままに描いた感じ」
ぼんやりしている…と言うか迷いとか戸惑いが多いんだ。
隣のイケメンのせいで。
これじゃあいけない。周りに気を取られて感情任せになっては、テーマが決められた作品はできない。
ジッとデッサンを見つめていると、移動した先生が慌てた声を出す。
「ちょっと…今日のデッサン対象は城山君じゃないからね!
これで何人目だよ~皆城山君見過ぎ」
どうやら皆は城山君に目が行ってしまうようで、
キャンパスに城山君が描かれている人が続出しているらしい。