コイゴコロ






「あ…雪…」





朝には振ってなかった雪が、試験の終わった頃になって降り始めた。




道理で寒いわけだ。




天気予報では『雪になる』なんて言ってなかったのにな…なんて思っても、空から落ちてくる雪を止める事はできなくて。

雪の下を歩く覚悟ができるまで、昇降口に佇んでいた。




せめて、折り畳み傘を持ってくるか、フードの付いたコートを着てくれば良かった。




ジッと外を見ているから、人が近づいている気配に気づかなかった。


バサリと私の頭の上へ被された布で一瞬周りが暗くなって、



手を動かしてもがきながら、なんとか布をずらして顔を出せば…


目の前に立つ背の高い男の子。


この学校の中等部の制服を着ている事から、この学園の生徒だとわかる。


驚いたのはその顔立ちだ。
同じ人間と思えないくらい綺麗な顔をしている。
目は二重でキラキラしていて、
眉はスラッと長くて、
鼻は某人気アイドルグループ並みに高くて、
肌は透き通るくらい白くニキビの一つも無くて、
程よい長さの黒髪はサラサラしていて、
スラッとしたモデル体型。




うわーー





「モテそうな容姿…いやモテるな」



つい思った事が口に出てしまった。




「まあモテるけどさ…一言目がそれって…」



飽きれた顔で言う男の子に私はハッと頭から背中にかけて乗ったままの黒い布を取る。

それは私にしては大きい…きっとこの男の子のパーカーだ。



「あの、これは…?」



「傘…無いんでしょ?被っていきなよ」




 



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