似た過去を持つ2人
さっきの自己紹介には出てこなかった名前。
初めて耳にする名前。
でもすぐに誰だかわかったのは、
翔太「優奈ちゃん。柊斗っていうのは、あそこに座ってる。ちょっと近づきにくいオーラの奴。」
と風早くんが教えてくれたから。
蓮「名前は藤城柊斗でー、あいつは両親がいないんだー!」
君島くんが『捨てられたんだー。小さいときにねー。』と付け足しながら軽い口調で言う。
それは軽い口調で言っちゃダメなんじゃ…
しかも本人の承諾もなしに言っちゃってよかったの…かな?
と、思いながらも色々考えてしまう。
柊斗くんは今何を考えて生きているんだろう…とか
どうして柊斗くんの両親は柊斗くんを捨てたりしたんだろう…とか…
自分も『捨てられる』というのを経験していたらしいし…
それでも私は『捨てられる』というのを覚えているわけではなく聞かされただけ…
柊斗くんの心は『捨てられる』というのをきちんと記憶している。
それがどんなにつらいことか…
私には見当もつかなかった。