裏面ワールドトリップ
私は身震いした。


ここへ来て初めて、怖いと思った。



敵地へ赴いてお姫様を助け出すという任務を、軽く考えていなかったか――

そんな考えも頭をよぎる。


ちょっと隙が無くて物事に動じないからって

ただの一般人の私に、お姫様をモーリッツ4世の〈言葉小人の力〉から守って無事にバルダクタル城へ連れ帰る事なんか、本当に……


いや、でも今更そんな事を考えたって、どうにもならない。



――怖くても、やるしかない。


ハウスドルフさんたちと一緒ならきっと大丈夫。



私は自分にそう言い聞かせ、弱音を頭から追い出した。




やがて


外の物音が、徐々に低くなっていった。
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