裏面ワールドトリップ
そんなメルヘンな雰囲気の中を

ハウスドルフ氏は全く不釣り合いな軍服姿で、眉間に皺を寄せて

「乙女心ねぇ……」

と、まだブツブツ言いながら歩いていた。


両手には、あらゆる傷に劇的に効くというトロリとした透明な液体、〈シャーフガルベ薬〉の小瓶を山盛りに積んだカゴを抱えている。



「あの、中尉……」


「ハウスドルフでいいよ」


彼は前を向いたまま言った。


ぶっきらぼうな物言いだが、別に怒っているわけではなさそうだ。
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