裏面ワールドトリップ
出発直前にローゼさんから「はい、これ」と手渡された。


――持って行きなさい。

役に立つかもしれないから――



どんな役に立つのかは見当も付かなかったけど

何となく言われるがまま、私はウイスキーを片手にローゼさんの家をあとにしたのであった。



「これは、えーっと……」


この非常時に「お酒です」なんて言ったら常識を疑われる。


「……お守り、みたいなものです」


「ふーん」


ハウスドルフさんは相槌を打ちながら、私の顔を横目でちらりと見た。
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