裏面ワールドトリップ
戸惑う私の様子をどう解釈したのか、国王は

「よくぞ来てくださった」

と、あたたかく歓迎してくれた。



「ありがとうございます、陛下。

ところで……」


私はローゼさんの家で出された今回の件についての仮説を、国王に話した。


「ほぅ、ローゼがそんな事を。


実は今……」


ふと、国王の瞳に、深い水底に差す翳りのようなものが見えた気がした。


「モーリッツ4世から
娘との――シャルロッテとの結婚を正式に認めるようにとの要求があった。


娘を救い出すだけなら、我がバルダクタル軍の力を以てすれば造作も無い事なのだが……

あの娘は、素直だが思い込みが激しくてな。

モーリッツに惑わされている以上、強引に連れ戻そうとすると何をしでかすか……」
< 83 / 224 >

この作品をシェア

pagetop