ちいさな恋

「うるせえこのブス!」

「あんたには言われたくない!」

中学に入っても
わたしは小学生の頃と
全然変わっていなかったわたしは、
男子にもこんな感じで
ちっとも女の子扱いなどされず、
隣の男子、千羽裕輔には毎日のように
罵られながら生活していた。

「いちごと千羽見てると、
 ほんとに面白いよ」

同じクラスでいつも一緒にいる萌は
わたしたちの言い合いをいつも
面白がってみている。

萌はわたしより背が低く、
ちょっとつり目がちの大きな目と
ピンク色のほっぺたが印象的な
かわいい女の子だ。
小学二年生の頃同じクラスで
それからずっと友達だ。

「どこが?ほんとにむかつく」

わたしは可愛げのない声で
はあっと顔をしかめた。

「そーお?お似合いだと思うけど!」

萌はこっちの気もしらずに
あはは、と可愛い声で涼しげに笑う。

「馬鹿にしないでよ、
 ほんとに嫌いなんだからー」

ブサイクなのはわかっていた。
周りのみんなより幼いのも
十分理解していた。
女の子扱いされないのも
もう慣れっこだったけれど、
やっぱり悲しかった。
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