崖っぷちトレード
「…うーん、とりあえず今分かった情報はこんなもんかな。」


私は簡潔に整理した情報をメモに書き留めた。
書き留めると改めて自分の持っている情報の少なさを実感する。


―結局、自分は瀬方慶一については、名前と年齢と勤務先しか知らないのだ。白風美加奈についても、それだけしか。


今自分は瀬方慶一で、白風美加奈は自分が殺害してしまった人物かも知れないのに。私は言いようのない恐怖に襲われた。
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