崖っぷちトレード
「ねぇ優実、ちょっと占ってもらおうよ。勉強運とかさ。」

美菜がニッと笑う。勉強というのは自分の努力によるものだから、勉強運と言ってもせいぜいテストのヤマが当たるかどうかぐらいしか占えないと思うが、まぁでも気休めぐらいにはなるかも知れない。


「あら?優実ちゃんと美菜ちゃんじゃない。お久しぶりね。」

こちらが話しかけるより先に占い師さんの方から声をかけられた。

占い師さんは私たちよりも20歳くらい上で、顔も雰囲気もいわゆる「癒し系」の人で、こうして話しかけられると、つい占ってもらうだけでなく悩み相談までしたくなってしまうほどの気持ちになってしまう。
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