年下彼女は嫌いですか?
プロローグ
「はい、お疲れ様でした。」
「ありがとうございます!」
嬉々として椅子から降り、背中についた髪を落としてもらい、レジに立つ
そう、私がいるのは近所の床屋さん
今日は髪を切りにきた
「3000円です」
会計を済ませて店を出る
「「「ありがとうございましたー!」」」
カランカラン
「ふぅ・・・」
暦上は春、でもまだまだ寒さの残る5月の今日
髪が風で乱れるのも気にしないで、走って家に帰った
名前は水瀬ライ
高校三年生の受験生
部活は吹奏楽部
彼氏はなし
これと言って非凡なところはない、普通の高校生であり
世間一般の子たちと同じように、恋をしている
でもそれはきっと、叶わないんだろうけど・・・
「・・・アキラさん」
鏡に映る自分の髪を触りながら呟けば、さっきまでここに触れていた彼のぬくもりを思い出す
そう、私が恋した相手は、さっき髪を切ってもらった美容師さんだ
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