年下彼女は嫌いですか?
最悪の出会い
「おはよー。あ、髪切ったんだ!」
教室に入ると、一番仲の良い友達の柚(ゆず)に声をかけられた
「おはよー、今日は早いね」
「うん、今日うちが日直だから、日誌取りに!」
いつも遅刻ギリギリに来る彼女が、そう言って青いファイルを掲げて見せたところでHR開始のチャイムが鳴り、同時に担任が教室に入ってくる
「あ、じゃあまた後で!」
それぞれ席に着いたところでHRが始まる
今日の予定や職員会議で決まった連絡事項が事務的に伝えられる
とくに重要な連絡がないときは、ほぼ無視するように参考書を開いて勉強している
受験生だし、周りも似たような感じ
「最後に、最近学校の近くで不審者の報告が出ている。特に女子は気をつけて、帰りは一人にならないように」
もちろん、先生のこの言葉も、綺麗さっぱり無視していた
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「やっと終わったー!!なんか最近部長気合入ってない?」
「仕方ないよ柚、コンクールも近いし…」
長かった部活も終わり、ようやく帰路につく
吹奏楽部は活動時間が特に長いことで有名で、帰る頃には、先生と私たちしか残っていないことが少なくない
「あ、そういえば朝、岡田っちが不審者出るって言ってたっけ」
「不審者?」
「あ、また聞いてなかったんでしょー!!」
柚が言うには、最近学校から駅に向かうまでの道に不審者が出るという話を岡田っち…もとい担任の岡田先生(♂)にされたらしい
「うちは車だけど…ライは電車でしょ?一人危なくない?」
「大丈夫だって、あたしなんか襲うやついないよ」
送っていくと言い張る柚を何とか説得して、一人駅へ向かう
時刻はちょうど7時を回ったところだった