彼岸桜
商店街で買った3つのコロッケを二つと一つにお皿にのせて、付け合せのキャベツを刻みながら、また、同じことを考えていた。同じ会社、同じ時期、その苗字。あの人しかいない、と思う。この頃は一年中スーパーにあるトマトの半分を冷蔵庫にしまいながら、今度は、あの子はトマトが好きだったなあ、と3年前になくなったわが子のことを思い出して、その子が小さかった時の夏のトマトの離乳食や、それにつらつらと、今はよちよち歩く子の母になった娘のことを考えたりする。
夫の強引さに半ば引きずられるように結婚したけれど、この結婚生活はとても幸せだった。人並みに色々なことがあり、人以上の悲しみもあったけれど、いつでも夫が自分の傍にいて、とにかく夫婦として支えあっているのだと確かにそう思う。穏やかに過ぎていく日々にも、突風が吹き荒れるような時にも、とにかくそこに夫はいて、い続けて、今もここにいる。