イフ*シンドローム【短編】
「あの、カップルのお客様には──」
「カップルじゃありません!誰がこんなやつと……!」
キッと京太を睨んで、ベーッと舌を出した。
「そ、そうですか……カップルのお客様には、次回こちらのパフェが無料になる券を配らせて頂くキャンペーンをしてまし──」
「カップルです」
「うわ、即答」
口を尖らせてそっぽを向くあたしに、
「このパフェのカロリー見てみろよー太るぞー」
と、“太る”と言うフレーズだけ強調して言った。
「うっさい馬鹿!」
「やっとこっち向いた」
「っ……」
「菅沼さんの告白、もちろん断ったよ」
「……分かってるし……」
「俺が好きなのは、亜衣だよ」
「うっ、うるさい!」
顔を真っ赤にしながら、おしぼりを顔面に投げつけた。
やっぱり、この人には適いません。
【END】