プリンセスの憂鬱【BL】(※仮)
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「──ヒメの苦手なお兄さんが結婚するってこと?」
翌朝、どうにか気持ちが落ち着いた俺は、恭介が作ってくれた朝食を食べながら昨日の事を話していた。
「違うよ。俺は兄貴が2人いんの。結婚するのは1番上で、嫌いなのは2番目」
恭介は俺の過去を知ってる。
知ってるとは言っても、掻い摘んだ事しか知らない。
それでも、こんな俺を好きだと言って側に置いといてくれるのが嬉しい。
「1番上のお兄さんとお父さんは、2番目のお兄さんとの事を知ってるの?」
「多分、知らないと思う。だからアイツが俺のトコに来たんだろ。1番上は真一っていうんだけど、真兄とは10歳離れてるから余り構ってもらった記憶が無いんだ。大学進学と同時に家を出て、その後は年に数回しか帰って来ないから」
「それで、どうするんだよ、結婚式の事」
「……行くワケねーじゃん。行ったらアイツに会うことになるし、会ったらどうなるか分かんねぇし」
「そっか」
恭介はそれだけ言うと、柔らかく笑ってた。
本当は行くべきなんだとは思う。
実の兄の幸せを祝いたい気持ちはちゃんとある。
けど、アイツに会ったら本当にどうなるか分からない。
殴り掛かるかもしれないし、卒倒するかもしれない。
一生の記念になる特別な日に、真兄と親父には迷惑掛けたく無い。
だから俺は、行くべきじゃないんだ。