プリンセスの憂鬱【BL】(※仮)
 

***

「──ヒメの苦手なお兄さんが結婚するってこと?」


 翌朝、どうにか気持ちが落ち着いた俺は、恭介が作ってくれた朝食を食べながら昨日の事を話していた。


「違うよ。俺は兄貴が2人いんの。結婚するのは1番上で、嫌いなのは2番目」


 恭介は俺の過去を知ってる。

 知ってるとは言っても、掻い摘んだ事しか知らない。

 それでも、こんな俺を好きだと言って側に置いといてくれるのが嬉しい。


「1番上のお兄さんとお父さんは、2番目のお兄さんとの事を知ってるの?」

「多分、知らないと思う。だからアイツが俺のトコに来たんだろ。1番上は真一っていうんだけど、真兄とは10歳離れてるから余り構ってもらった記憶が無いんだ。大学進学と同時に家を出て、その後は年に数回しか帰って来ないから」

「それで、どうするんだよ、結婚式の事」

「……行くワケねーじゃん。行ったらアイツに会うことになるし、会ったらどうなるか分かんねぇし」

「そっか」


 恭介はそれだけ言うと、柔らかく笑ってた。

 本当は行くべきなんだとは思う。

 実の兄の幸せを祝いたい気持ちはちゃんとある。

 けど、アイツに会ったら本当にどうなるか分からない。

 殴り掛かるかもしれないし、卒倒するかもしれない。

 一生の記念になる特別な日に、真兄と親父には迷惑掛けたく無い。


 だから俺は、行くべきじゃないんだ。

 

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