プリンセスの憂鬱【BL】(※仮)
「──あの〜、もしかしてLuciのヒメノさん?」
駅ビルのCDショップで新譜を眺めいてた時だった。
その日の俺は、伸ばしっぱなしの髪を適当に括って黒縁の眼鏡。
服は、ダメージジーンズに緩めのパーカー、という物凄く適当でラフな格好だった。
Luciのヒメノと素の自分とで分けているつもりはないけど、遊び仲間以外で、こんな格好でヒメノだと気付くヤツがいるとは。
いつも使っているコンタクトが切れたんで、眼科に行くついでにCDショップに寄ったんだけど……。
正直、誰かに声を掛けられるなんて思ってもみなかった。
「そうだよ」
適当に返事をしながら振り向くと、見覚えの無い同い年位の男が立っていた。
「やっぱり! 俺、ヒメノさんのファンなんですよ! 思い切って声掛けて良かった〜」
「ライヴ来てくれてんだ? ありがとな」
街中で声を掛けられる事は時々ある。
殆どが女の子だけど、男に声を掛けられるのは何だか嬉しい。
同性から認められるって、やっぱ嬉しいじゃん。