プリンセスの憂鬱【BL】(※仮)
「別に、女に間違われるのなんてよくあるから気にしないよ。紛らわしいカッコしてんのも自覚してるし。それに……」
あー……早く夜になんないかな。
「その方がトクすることもあるしな」
ずい、とソイツに近付いて、ワザと上目遣いで笑顔を見せてやると、跳ねるようにしてソイツは1歩下がった。
「ちょ、誘惑しないでくださいっ」
「あははっ、お前変なの。じゃ、そろそろ時間だから行くな。またライヴ来てくれよ」
言って踵を返した途端、腕を掴まれた。
「なに?」
「あ、あのっ、メアド交換して貰えませんかっ!?」
少し赤らんだ顔をしたソイツは、カバンから慌ててスマホを取り出している。
まぁ、メアドくらい教えてやっても良いか。
ライヴの感想とか聞かせてくれたら嬉しいし。
「──ありがとうございますっ!」
満面の笑みを浮かべるソイツと別れて、俺はいつも通っている眼科へと足を向けた。