プリンセスの憂鬱【BL】(※仮)
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気がついて最初に視界に入って来た顔に、吐き気が込み上げた。
それをどうにか堪えて起き上がると、ここが眼科にある一室だと教えられた。
四畳半程の広さしかないその部屋には、俺が寝ていたベンチみたいな小さなベッドと書類が収められた棚しかない。
そんな狭い空間に2人きりで居ると思うだけで頭痛が押し寄せて来る。
「大丈夫か?」
「……っ、触るな!」
俺を案じて伸びて来た手を、反射的に叩き落としていた。
間違っても、視線なんて合わせられない。
俺は俯いたまま拳を握り締めた。
「久し振りだな、恭介」
改めてそう声を掛けて来たソイツは、俺が1番会いたくない相手──俺のすぐ上の兄貴だった。