不完全な完全犯罪・霊感探偵瑞穂誕生【完全版】
 「瑞穂どうした?」
木暮が言う。


「お前の兄貴と同じ頭をしたヤツのことを思い出したんだ」

俺はワナワナと震えながら、此処を訪ねた本当の目的を語り始めた。


勿論しどろもどろだ。
自分で何を言ったのかさえ判らない。


それでも俺は必死だった。
何としてでも木暮に事件の真相を伝えなくてはいけないと思って……




 「もしかしたら、原田とか言わなかった?」
木暮が言った。


(――えっ、何故名前を知っているんだ。

――もしかしたら兄貴の知り合いか何かか?)

俺はそう思いながら、木暮の次の言葉を待った。


「もしソイツだったら、この前電話をくれた人だ」

木暮はそう言いながら、その時書いたと言うメモを固定電話の傍から持ってきた。


(――スキンヘッド……

――ストーカー……)

そう読める走り書き。


木暮もきっと震えていたのだろうか?
その文字は乱れていた。




 この探偵事務所のことは調べているようだった。

何処から噂を聞いたのだろうか?
叔父さんが元刑事だったことまで知っていた。

きっと、叔父さんを良く知っている人に紹介されたんだ。

俺はあの時勝手にそう思い込んでいた。


(――そうか!?
そうだったのか!?

――木暮が教えたのか!?)


俺はあの日、自転車で木暮の通っている高校を目指した。

その時、みずほの殺された真相や、叔父さんが元刑事だったことを話してしたのだった。


でも木暮はその男性が殺されたボンドー原っぱだとは知らなかった。


「ボンドー原っぱ!? えー、兄貴のことじゃ無かったのか!?」

やっと気付いた木暮は自分の書いたメモを見ながら震えだした。




< 100 / 122 >

この作品をシェア

pagetop