不完全な完全犯罪・霊感探偵瑞穂誕生【完全版】
 「そう言えば麻衣? 仕事は大丈夫なの?」


(――仕事!?

――そう言えば、売れない時期を支えてくれたとか、だったな。

――彼女の仕事って一体なんだ?)


「あっ、大丈夫よ。母が行ってくれてるから」
麻衣はそう言った。


(――へえー、親子でできる仕事か?

――そう言うのいいな)

俺は単純にそう思っていた。
次の言葉を聞くまでは……




 「やっぱり美容師は良いわよね。麻衣のとこ親子二代だから、試験も簡単だったんじゃないの」


「まあね、だって小さい時から叩き込まれていたからね」
さも当たり前のように麻衣が言った。


(――へえー、美容師か?

――そう言えば叔父さんが、ヒモのことを髪結い屋の女房とか言っていたな。

――昔っからの言い伝えらしいけど、今でもそうなんだ)

俺は麻衣を親思いの良い奴だと思った。


でも……
次の瞬間、あのボンドー原っぱの言葉が脳裏をかすめた。




 スキンヘッドには今なって来たのだろうか?
あまりにも見事な剃りっぷりだった。


(――それにしてもこんなツルツル頭見たことないな。

――きっと腕のいい床屋さんなんだろうな?)

俺はあの時、ソイツの頭を見ながらしきりに感心していた。


でもソイツは妙なことを言った。


『気が付いたらこんな頭になっていた』
と。


(――嘘だろ?
嘘に決まっている)

俺はそう思っていた。
第一、知らない間にそんな頭になっていたとしたら怖すぎる!?


(――でも、もしかしたら本当かもな?)

そう……
ソイツの怖がり方が尋常ではなかったのだ。


(――そうだよ。
美容師でもスキンヘッドは出来る。

――えっ、嘘ー!?)

次の瞬間俺は震え上がった。




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