不完全な完全犯罪・霊感探偵瑞穂誕生【完全版】
 MAIは道端で男性の売っていたゴールドスカルのペンダントヘッドを見つけた。
いや、魅入られたと言うのが正解かも知れない。
それは握り拳位い。
流れた胎児の大きさだったのだ。
全身が震える。
ゴールドスカルから目が離せない。
遂にMAIは愛しそうにそれを掌に乗せたのだった。
我が子が戻ってきた。
MAIはそう思った。


木暮の兄貴の携帯電話に残った映像。
パソコンに保存されていたボンドー原っぱが隠し撮りした映像。
それらを見比べている内に俺は何か違和感を覚えた。

俺はどうして彼女に会いたいと懇願した。




 俺はみずほのコンパクトを握り締めながら、ガラス越しの彼女と対面した。


といっても相手からは俺は見えない。
取調室ではそれはミラーだったから。


保管してあったゴールドスカルのペンダントヘッド。
俺は又、木暮敦士の意識と向き合うことになる。


「あっ!?」
俺は思わず声を上げた。


デパートの従業員用エレベーターの鏡に、帽子を目深に被った女性が映っていた。

男性だと思い込んでいたストーカーは女性が男性に変装したものだったのだ。


でもそれはMAIではなかった。


「この人は犯人じやない!!」
俺は思わず言った。




 ゴールドスカルのペンダントヘッドは、MAIが犯人ではないと告げていた。


確かに、木暮敦士の頭をスキンヘッドにしたのはMAIだった。

それはマネージャーへの抵抗のためだった。


木暮敦士はストーカー被害が深刻化したら、ロックなど辞めてもいいとMAIに打ち明けていたのだ。

全てはMAIを守るためだった。
自分のせいで、MAIを危険な目に合わせたくなかったのだ。

又介護ヘルパーとして働けばいい。
木暮敦士はそう思っていたのだった。




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