不完全な完全犯罪・霊感探偵瑞穂誕生【完全版】
 ボンドー原っぱはMAIの彼氏ではなかった。

彼は木暮敦士の所属していたロックグループのリーダーだったのだ。

彼はマネージャーに頼まれて携帯でMAIの写真を撮った。
それが何に使われるかも知らないで。


マネージャーはMAIの新しい彼氏を狙っていたのだ。


ロックグループのボーカルとして売りだそうとしていたのだった。

そしてあわよくば恋人にと考えていたのだった。

携帯の中に保存された映像で、MAIの恋人がボンドー原っぱだったと決め付けられるだろう。
マネージャーはそう思っていたのだ。




 俺は彼の話を思い出していた。
最近の彼女がおかしい。
きっと浮気をしている。
そう思い込み此処にやって来たと言うボンドー原っぱのことを。


『この頃彼女が冷たくて……、解ってます。この名前がイヤだってこと。でもやっと得たチャンスなんです』

売れない時代に支えてくれた彼女。

でもやっとデビュー出来ると思ったら、ボンドー原っぱなんてふざけた名前を付けられた。

だから彼女が怒った。


(――解る気がする)
だからそう思った。


あの時の仕事の依頼はやはり浮気調査だった。

彼はロックグループのボーカルだと言った。


『だからと言う訳でもないと思いますが、浮気を疑いまして……、この前も彼女につきまとう男性をストーカー呼ばわりしたって怒られたし……、ひょっとしたらその相手かも? などと勘繰りまして』

そう……
ボンドー原っぱは確かにそう言っていた。

あの時MAIの写真を見せられ彼女だって思わされたのか?


(――ボンドー原っぱの彼女って本当は誰なんだ?)




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