不完全な完全犯罪・霊感探偵瑞穂誕生【完全版】
 MAIは、ゴールドスカルのペンダントヘッドが付いたチェーンが木暮敦士の首を切断したとは思っていなかった。


勿論、木暮敦士の死因がチェーンによる物だと聞いてはいたのだが……


だから……
ボンドー原っぱの告別式の日、カフェで会った彼の首にそれが掛かっているのを見て驚いてしまったのだ。

MAIが逮捕された時、彼女は本当にゴールドスカルの手に入れたいきさつを知りたいと思っただけだったのだ。


自分の購入したゴールドスカルのペンダントヘッドとそのチェーンが如何なるルートで彼に渡ったのか知りたかっただけなのだ。




 MAIは木暮の兄貴の恋人だった。
ボンドー原っぱは、其処のギタリストだったのだ。
二人は幼なじみだったのだが、両親の離婚で原田学が引っ越ししていたのだ。

だから原田学の母は、地元で葬儀をしたのだった。


介護ヘルパーの養成所で二人は再会したようだ。
そして、ロックグループを立ち上げたのだ。


最初は施設でのパフォーマンスで披露したようだ。
それが評判を呼び、次々とお呼びがかかるようになる。
そしてインディーズとしての活躍が始まったのだった。




 叔父さんの探偵事務所にMAIが居た。
警察から釈放された報告だった。


(――やっぱり可愛い!)
俺はときめいていた。


でもMAIは新しく恋人とやり直したいと言う。


「私やっぱりロッカーが大好きなの」
MAIは精一杯明るく笑った。


浮気者だと言う彼。
でもMAIなら大丈夫だと俺は思った。


(――でも何故、新しい彼もスキンヘッドだったんだろう?

――きっとそれもマネージャーが企んたんだ。

――もしかしたら、彼まで殺す気だったのだろうか?)


俺はゾクッとして、思わずみずほのコンパクトを握り締めていた。


「あぁ、言い忘れてました。彼ね、私を脅かすためにスキンヘッドにしたんだって。でも本当は解っていたの。原田君との噂を気にしていたんだと。本当に何でもないのよ」
MAIは明るく言い放った。




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