不完全な完全犯罪・霊感探偵瑞穂誕生【完全版】
 みずほの遺体が両親の手によって運ばれて行く。
俺はその後を追った。


警察は当然のように解剖することを勧める。

でも全身打撲の身体を、もうこれ以上傷付けなくはないそうだ。


両親の気持ちは痛い程解る。

それでも俺は警察に任せた方が良いと思った。


俺だってイヤだよ。
みずほの体を切り刻むなんて。

でもこのままにしてはいけないと思ったんだ。


だから俺は記憶をたどり、自転車を乗り捨てた場所へ急いだ。


みずほの死が自殺だと信じられずに……
そのまま葬り去ることなど出来るはずがなかったのだ。


(――ごめんみずほ!!)

俺はこんな惨いことを頼む位しか出来ないんだ。


(――最低な奴だな俺)

俺はペダルを必死に踏みながら、みずほに誤っていた。




 「おじさん、おばさん……辛いけど……解剖……してもらおうよ)

俺の発言に、驚いたように振り向く二人。


「靴を……履いたまま……自殺だなんて……俺……絶対に違うと思う!」

俺は必死に走って来たお蔭で、息も絶え絶えになっていた。


そんな俺の行為がこうを制して、やっと解剖をすることに同意をしてくれた。


でも一つだけ条件があった。

それはみずほの身体を切り刻まないことだった。


(――そう……
それが可能なら、どんなにか救われるだろう)

俺は両親の賢明な判断に頭が下がる思いだった。


(――ありがとう……
おじさん、おばさん。

――本当は……
俺だって辛いよ!!
辛過ぎるよーー!!!!!!)




 みずほが運ばれて行く。
俺の発した一言のために。


俺はみずほの両親に許しをこうていた。

いくらみずほの恋人だと言っても、赤の他人の俺が口出し出来るはずもないのに。


でも両親は優しかった。


『助けてー!!』
の、最期の言葉を聞いた俺を慰めようとしてくれた。


そう……
そのことがあったから、両親はみずほを警察に任せることにしたのだった。




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