不完全な完全犯罪・霊感探偵瑞穂誕生【完全版】
 俺はみずほの死の真相が知りたくて、学校の屋上へ向かった。

俺はもうズタズタだった。
でも何かに突き動かされていた。
それはみずほへの愛だった。

恋人の死に方を究明するなんて、みずほに対する冒涜かもしれない。

でもどうして遣らならければないと決意したのだった。


其処には大勢のクラスメートが集められて居た。

俺は何かを期待していた。
でも全員が自殺の目撃者だと言っていた。


(――だったら何で引き止めてくれなかった!)

俺は怒りを感じながら、現場検証を見ていた。




 俺はポケットの中でコンパクトを握り締めた。

その時コンパクトが反応した。


(――みずほが泣いている。
そう感じた。

――全員が……

――クラスメートがみずほを死に追いやった……)

俺の痛みがそう悟った。


俺は右手に携帯、左手にコンパクトを持ち目を閉じた。


俺の霊感が……
みずほの痛みを感じる。


《死ね》の文字がみずほの頭に浮かぶ。


そして、その中に邪悪な何かを捉えた。




 その時。
俺の深部が反応した。

何が何だか解らなかった。
でも……体中の神経と言う神経が集中していた。


それは覚醒だった。

恋人を失った悲しみが、俺の奥底で眠っていた感情を呼び覚ましたのだった。


その時。
霊感探偵が誕生した。

いや、俺自身で誕生させていた。


俺は持って産まれたこの霊感を駆使して、必ずみずほを死に追いやった者を捜し出そうと思った。


みずほの死の真相を葬り去ることなんか出来なかった。


このコンパクトがきっと、全て見ているはずだ。


だから身の毛も総立ちになる程の痛みを、ショックを俺は受け止められるだけの人間になろうと思った。

みずほのために強い人間になること。

それが俺に課せられた使命だと思った。




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