不完全な完全犯罪・霊感探偵瑞穂誕生【完全版】
 「何遣ってんの!? 早く走って!!」

みずほが声を荒げた。

その言葉に俺はハッとして、次の瞬間無我夢中で走った。

気が付くと俺はバトンを一番に渡していた。


そうだった。
俺は自称だけど、サッカー部のエースだった。

俺は走りに関しては誰にも負けたことがなかったのだ。




 ポカーンとしていた。
何が何だか解らなかった。

でも俺は本当は知っていた。
みずほに恋をしたことを。


全身が硬直した時。
もう駄目かと思った。
でも必死に走ってくれたみずほのために頑張りたいと思った。


だから俺は速く走ることが出来たんだ。
全てみずほがいてくれたからだった。


俺はみずほに素直な気持ちを伝えたいと思った。

だから……
俺は校庭から少し離れた木の影にみずほを誘った。


みずほはイヤがっていた。

でも俺は、他のことなど目に入らなかったのだ。




 「岩城みずほ……さん実は俺……」
そう言ったままで俺はフリーズした。
可愛いセクシーな唇が俺の目の前にあったから……

俺は興奮した。


――ドキッ!


――ドキドキッ!!


――ドキドキドキッ!!!!


――あーああ!!


――何なんだ!?

俺はたまらずみずほにキスをしていた。




 ――バシッ!!
俺の耳元でビンタが炸裂した。


「何よいきなり!!」
みずほは泣いていた。


(――えっ!?」

久しぶりにみずほの涙を見て俺は戸惑った。


そして俺はみずほを抱き締めた。


俺の胸を叩きみずほが抵抗をする。
俺は構わずそのまま抱き締め続けた。

何故だか解らない。
ただ抱き締めていたかった。
みずほにとって迷惑なのは百も承知で。



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