不完全な完全犯罪・霊感探偵瑞穂誕生【完全版】
 (――何かが……
解るかも知れない)

俺はみずほのコンパクトをそっと手にした。

そしてもう片方の手のひらで、みずほの胸の痣を触れてみた。


「あっ!?」
俺は思わず叫んだ。


「あっーー!?」

驚きの声を上げる俺の元へみずほの両親が駆けつけて来た。


俺はみずほの胸元を指差した。


みずほの胸元にあった痣が広がって、人の手のひらの痕になっていた。


「みずほはやはり殺されたんだ!」
俺はみずほの遺体にとりすがった。




 俺の悲鳴のような言葉を聞きつけた警察官が、遺体の痣が手のひら状に拡大したのを確認した。


「この痣は……確かに人の手の形だ」


「こりゃあ、殺しの可能性も否定出来ないかも知れないな」


「誰かに突き落とされたのか? でもあの時、確か大勢の人が屋上に集まっていたと言っていたな」


「確か全員が自殺の目撃者だったな……あーあ、こりゃ難航するな」
警察官らそれぞれに発言して頭を抱えた。


俺はあの屋上でクラスメートへの憤りを感じた。


みずほを死に追いやったのは、やはりアイツ等だったのだろうか?


アイツ等が、よってたかってみずほを自殺に見せ掛けて殺したのだろうか?




 やはり殺しだった。

でも……何のために!?


どうして恋人が殺されなけりゃならないんだ!


(――何故みずほだったのか?

――何故みずほじゃなくちゃならなかったのか?

――一体、みずほが何をしたと言うのか?

――みんなのどんな恨みを買ったと言うのだろうか?

――みずほは誰にも優しかったはずなのに!!)




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