不完全な完全犯罪・霊感探偵瑞穂誕生【完全版】
鑑識が胸の痣のサイズを調べている。
どうやら大人のではないらしい。
(――ってゆうことは?
――犯人は同級生なのか?)
俺は混乱した頭で、コンパクトを握り締めていた。
周りを見ると、大勢の学校関係者がみずほの胸元に付いた痣を見ていた。
その中には担任もいた。
「なあ磐城。さっき聞いたんだけど、あの痣お前が見つけたんだってな」
俺は頷いた。
「辛いよなー」
先生は泣いていた。
「こんな時になんだけどな……以前会ってた人の旦那さんは、この前心臓病で亡くなったんだ」
先生は何故か遠い目をしていた。
(――きっと……
あの告白に違いない)
俺は自然に身構えた。
「俺達は幼なじみで、俺はずっとあの人のことを思っていたんだ。でも仕事先の上司が、強引に……」
「でもセンセ。浮気にはちげーねえよ」
俺はワザとタメ口で言った。
「解ってるよ」
先生が俺の肩を叩く。
形は違うが、恋人同士が引き裂かれた。
先生も辛い人生を歩んで来たのだった。
「でもセンセ。親子と言うより、兄弟だね」
「後妻なんだ。奥さんが死んで、家政婦代わりに」
「なんか酷いね」
「偶然学校で再会した時は見る影もなかった。まるで別人だった」
先生はそう言いながら、胸ポケットから携帯を取り出した。
その中の一枚に彼女とのツーショット。
幸せそうに笑う女性に、ラブホで会った女性の面影はなかった。
「言い訳じゃないけど、放っておけなくて……」
先生は泣いていた。
俺はその時思った。
きっとこの事件のきっかけになった同級生のお父さんが、あの人の旦那さんではないかと思った。
あのラブホで遭ったグレーのスーツの女性……
父兄会や行事で見掛けただけの人なので、誰の母親かとは知らなかったけど……
そうか……
あの人が有美の新しい母親だったのか。
そう言えばみずほに聞いたことがあった。
『今度の有美お母様は、若くて凄く働き者で良い人なんだって』
確かそんなこと言っていた。
やはり若かった。
まさか、先生が昔本気で愛した恋人だったなんて……
今も先生は、きっとその別れさせられた恋人を思い続けている。
俺は何時しか、叔父さんと先生を重ね合わせていた。
どうやら大人のではないらしい。
(――ってゆうことは?
――犯人は同級生なのか?)
俺は混乱した頭で、コンパクトを握り締めていた。
周りを見ると、大勢の学校関係者がみずほの胸元に付いた痣を見ていた。
その中には担任もいた。
「なあ磐城。さっき聞いたんだけど、あの痣お前が見つけたんだってな」
俺は頷いた。
「辛いよなー」
先生は泣いていた。
「こんな時になんだけどな……以前会ってた人の旦那さんは、この前心臓病で亡くなったんだ」
先生は何故か遠い目をしていた。
(――きっと……
あの告白に違いない)
俺は自然に身構えた。
「俺達は幼なじみで、俺はずっとあの人のことを思っていたんだ。でも仕事先の上司が、強引に……」
「でもセンセ。浮気にはちげーねえよ」
俺はワザとタメ口で言った。
「解ってるよ」
先生が俺の肩を叩く。
形は違うが、恋人同士が引き裂かれた。
先生も辛い人生を歩んで来たのだった。
「でもセンセ。親子と言うより、兄弟だね」
「後妻なんだ。奥さんが死んで、家政婦代わりに」
「なんか酷いね」
「偶然学校で再会した時は見る影もなかった。まるで別人だった」
先生はそう言いながら、胸ポケットから携帯を取り出した。
その中の一枚に彼女とのツーショット。
幸せそうに笑う女性に、ラブホで会った女性の面影はなかった。
「言い訳じゃないけど、放っておけなくて……」
先生は泣いていた。
俺はその時思った。
きっとこの事件のきっかけになった同級生のお父さんが、あの人の旦那さんではないかと思った。
あのラブホで遭ったグレーのスーツの女性……
父兄会や行事で見掛けただけの人なので、誰の母親かとは知らなかったけど……
そうか……
あの人が有美の新しい母親だったのか。
そう言えばみずほに聞いたことがあった。
『今度の有美お母様は、若くて凄く働き者で良い人なんだって』
確かそんなこと言っていた。
やはり若かった。
まさか、先生が昔本気で愛した恋人だったなんて……
今も先生は、きっとその別れさせられた恋人を思い続けている。
俺は何時しか、叔父さんと先生を重ね合わせていた。