不完全な完全犯罪・霊感探偵瑞穂誕生【完全版】
 気が付くと、何時の間にかお祖母ちゃんが俺の手を握り締めていた。

言葉なんかなくても、優しい心遣いが身に染みた。


俺の恋人として、みずほを初めて紹介したのはお祖母ちゃんだった。

お祖母ちゃんは相当驚いたようだった。
俺が好きなのは、小さい時から何時も一緒にいた千穂だと思っていたいたようだ。


でもみずほの優しさを目の当たりにして、安心したように俺に言った。


『これで、思い残す事はなくなったわ』
と――。

でも俺は、もっともっと長生きしてほしいと思っていた。


みずほのお母さんはアルバムを持っていた。
訪れた人達に、みずほを感じて貰いたかったのだ。


何時までも忘れないでいてほしいとの意味を込めて。




 「みずほお姉ちゃん死んじゃったの?」

アルバムを見ながら、運動会の日にトイレにいた女の子が言っていた。


俺は思わずその子を見つめた。


「君は今お姉ちゃんと言ったね?」


「うん。みずほお姉ちゃんイトコなの」


(――あ、そうか……
だからあんなに面倒見が良かったのか)

俺は不謹慎だけど何だか笑いたくなった。


俺はあの日、優しいみずほに恋をした。

そのきっかけになった女の子が、みずほのイトコだったとは。


俺はそのキューピッドになった女の子を思いっきり微笑んで抱き締めた。

あの日のみずほに急に逢いたくなった。

みずほのその子に対する愛を感じたくなって……




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