不完全な完全犯罪・霊感探偵瑞穂誕生【完全版】
 みずほのコンパクトに触れてみた。


あの日の会話を聞きたかった。


あの少女とのやり取りが心和ませると思っていた。


優しいみずほと出会いたくて……


逢いたくて逢いたくてたまらないんだ。




 このコンパクトが全てを見せてくれる。
何故だか俺はそう確信していた。


でもそうは問屋は卸さないようだ。
俺は混乱していた。


(――何故だ……
何故見せてくれない)

俺は恐る恐るコンパクトを開けて、
《死ね》
の文字を見つめた。





 俺の浅はかな考えに、みずほが泣いている。
急にそう思った。


(――みずほがずっと……
忘れられなかった保育園時代のお漏らし……

――そうだよな……
同じ体験をしたであろうこの子を俺は……

――みずほゴメン)

俺は鑑識検査の終えたみずほの亡骸に誤った。

DNA鑑定出来る証拠は新たに全て採取したと鑑識官は言っていた。
これから科学捜査研究所で詳しく調べるようだ。


どうやら、みずほは本当に殺されたようだった。

俺に……
霊感に目覚めた俺に出来ること?


俺はみずほを死に追いやったクラスメートを許してはいけないと思っていた。
あの時見た、微笑んでいるような顔が頭から離れられなくなっていた。



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