不完全な完全犯罪・霊感探偵瑞穂誕生【完全版】
通夜の準備が静かに進んで行く。
紙の六文銭と白装束。
この世からの決別するための旅支度がみずほを飾る。
納棺師が死化粧をしようとしていた。
俺はコンパクトをその人に託した。
コンパクトを開けた時、あの文字に息を詰まらせたようだ。
暫くそのままでいた納棺師に、俺は首を振った。
「御両親は何も知らないんです。だからそのままみずほを……」
俺があまりにも辛そうだったからかなのか、納棺師は頷いてくれた。
そう……
せめて最期くらいは俺の贈ったコンパクトで化粧してやりたかった。
(――みずほ愛してる!!)
俺はあの日言えなかった想いを伝えたくては、みずほを見つめ続けた。
「みずほちゃん綺麗ね」
俺はその声に驚き、慌てて振り向いた。
見るとお祖母ちゃんがアルバムの中のみずほを見ていた。
俺も見たくなって、お祖母ちゃんの隣に移動した。
小さなみずほはお花畑の中で微笑んでいた。
大きなみずほは俺の隣で微笑んでいた。
その屈託のない笑顔はもう見られない。
急に胸が締め付けられる。
俺は悲しみの中にいた。
「あっ!」
突然お祖母ちゃんが変な声を出した。
「この子よ。トイレに居た子は」
俺はその言葉が、みずほのイトコの女の子に向けられたんだ思った。
「あっトイレのことはなし、傷付くと思うから」
俺はそっとお祖母ちゃんに耳打ちをした。
「そうか、やっぱり気付いていたのね」
お祖母ちゃんはアルバムをめくって、子供の時の写真ページにした。
「あんなに追い掛けていたんじゃ当たり前か?」
お祖母ちゃんがポツリと言った。
俺には何のことだか解らなかった。
「お祖母ちゃんさっきから何言ってるの?」
俺は思いっきって聞いてみた。
するとお祖母ちゃんは俺にアルバムにある写真を示した。
「この写真よ。私は覚えがある」
お祖母ちゃんはそう言いながら、俺に意外な話を始めた。
紙の六文銭と白装束。
この世からの決別するための旅支度がみずほを飾る。
納棺師が死化粧をしようとしていた。
俺はコンパクトをその人に託した。
コンパクトを開けた時、あの文字に息を詰まらせたようだ。
暫くそのままでいた納棺師に、俺は首を振った。
「御両親は何も知らないんです。だからそのままみずほを……」
俺があまりにも辛そうだったからかなのか、納棺師は頷いてくれた。
そう……
せめて最期くらいは俺の贈ったコンパクトで化粧してやりたかった。
(――みずほ愛してる!!)
俺はあの日言えなかった想いを伝えたくては、みずほを見つめ続けた。
「みずほちゃん綺麗ね」
俺はその声に驚き、慌てて振り向いた。
見るとお祖母ちゃんがアルバムの中のみずほを見ていた。
俺も見たくなって、お祖母ちゃんの隣に移動した。
小さなみずほはお花畑の中で微笑んでいた。
大きなみずほは俺の隣で微笑んでいた。
その屈託のない笑顔はもう見られない。
急に胸が締め付けられる。
俺は悲しみの中にいた。
「あっ!」
突然お祖母ちゃんが変な声を出した。
「この子よ。トイレに居た子は」
俺はその言葉が、みずほのイトコの女の子に向けられたんだ思った。
「あっトイレのことはなし、傷付くと思うから」
俺はそっとお祖母ちゃんに耳打ちをした。
「そうか、やっぱり気付いていたのね」
お祖母ちゃんはアルバムをめくって、子供の時の写真ページにした。
「あんなに追い掛けていたんじゃ当たり前か?」
お祖母ちゃんがポツリと言った。
俺には何のことだか解らなかった。
「お祖母ちゃんさっきから何言ってるの?」
俺は思いっきって聞いてみた。
するとお祖母ちゃんは俺にアルバムにある写真を示した。
「この写真よ。私は覚えがある」
お祖母ちゃんはそう言いながら、俺に意外な話を始めた。