不完全な完全犯罪・霊感探偵瑞穂誕生【完全版】
 イレに居た女の子とは、さっき俺が話し掛けた子ではなかった。


それはみずほのことだった。


俺がオムツを着けるきっかけになったデパートのトイレ事件。


女の人が頭から血を流していると言った俺。

でも実際は可愛い女の子だった……


その時トイレに居た子がみずほだったと……
お祖母ちゃんは言った。


(――そう言えば確か……
お祖母ちゃんには見えていなかったんだっけな)

お祖母ちゃん言っていた。

其処に居たのは、可愛らしい女の子だったと。


俺はだんだん思い出していた。


(――あれっ?
保育園の時会わなかったな?)
ふと疑問に思った。




 「保育園でみずほちゃんを初めて見た時に、どっかで会ったとは思っていたのよ」

お祖母ちゃんは、そう言いながらアルバムを胸に包み込んだ。

それは、気付かなかったお詫びのようだった。


「アンタの恋人として紹介して貰った時に気付いていたら……」

お祖母ちゃんは泣いていた。


「アンタには霊感があると教えたのに、肝心なことは見えてなかったのね」

そうだよ。
俺には見えていなかったのだ。
みずほの未来が。

永遠に繋がるであろう明日も、悲しみにくれている今日さえも。




 (――俺達は……
きっと運命で結ばれていたんだ)
何故かそう思った。

俺がトイレで頭から血を流している人を見たから、自宅のトイレにも行けなくなり……

そのためにオムツになった。


そのオムツがきっかけでみずほから睨み付けられ、それがきっかけで優しいみずほに夢中になった。


(――この恋は……
あのデパートのトイレの中で始まっていたんだ)


だとしたら……

あの女の人は……
みずほが頭から血を流して死ぬ。

そのことを俺に見せていたのだろうか?


その暗示を俺は無視していたのだろうか?


もしそうだとしたら、みずほを死に追いやったのは自分かもしれない。


俺はみずほに許しをこうていた。

あまりにも未熟な霊感のために、みずほを追い詰めてしまったことを。



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