不完全な完全犯罪・霊感探偵瑞穂誕生【完全版】
 後に残ったのは、俯いた女生徒と先生だけだった。

でもその中にあの二人は居なかった。


みずほの死を悲しむわけでもなく……

みんな帰ってしまった屋上。


俺はただ自分の力不足を痛感した。


この中に真犯人は居ない。

コンパクトはそう言っていた。


(――解ってる……
そうか、俺は最初から知っていたんだ。

――でも……
幼なじみを疑いたくなかった)

町田百合子はともかく福田千穂は、保育園時代から……

正確には産まれた時から一緒だと言っても過言ではなかったのだ。


母と千穂の両親は同じ職場だった。
俺達は良く手を繋いで、保育園に通っていた。
そうお祖母ちゃんの後に付いて……

 「先生。この中に犯人は居ないよ」
俺はズバリと言い切った。


「それじゃあ誰だ?」
先生が教え子を見た。


「えーと、お休みしているのが一人いて、此処に来なかったのが二人います」


「休みは確か……松尾有美だったな。でも松尾は違うぞ、親父さんが亡くなったからだ」
先生は強く言った。


俺には解った。
先生の浮気相手の、元恋人の子供となった有美。

愛した人と例え血は繋がっていなくても、その娘を守りたいのだと。


先生は其処までその人を愛しているんだと、俺は思っていた。




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