不完全な完全犯罪・霊感探偵瑞穂誕生【完全版】
 「ねえ磐城君。私達怖くて言えなかったのに、良く解ったね」

一人が言った。


「だって、私達話してたのよ。あのキューピット様が原因じゃないのかって」


「だから怖くては言えなかったの」


「そうよ。だから……例えば誰かに聞いたとか?」
もう一人が言った。


「チゲーよ。でもそうなのかもな」


「何だいそりゃー」
先生も言った。


「実は……みずほに聞いたんだ」

俺がそう言った途端、みんな顔を見合わせた。




 「実は俺、霊感が強いんだ」

俺はもう一度、コンパクトをポケットの中で握り締めた。


「俺とみずほの出逢いはデパートのトイレだった」

俺はあの日の記憶は全く無いに等しい。
でもお祖母ちゃんから聞いた話を頼りに切り出した。


トイレの中で怖い思いをしたこと。

それがキッカケでトイレに行けなくなり、オムツを付けたことなどを。

保育園でみずほに睨まれ、怖い女の子だと思ったこと。

その時、実はみずほを傷付けていたこと。

それがきっかけでみずほに嫌われたこと。

そして、その全てが運命だったことを包み隠さず話した。




 俺はみずほへの愛をみんなに告白していた。


「其処まで好きだったとはね」


「そうだよね。だから千穂がヤキモチを焼いてたのか」


(――えっ!?)
初耳だった。


(――まさか……
福田千穂が俺のことを?)


俺は何が何だか解らなくなった。


(――福田千穂がみずほを殺したのか?

――俺をみずほから奪うために?

―でもそうなると……
やはりみずほは俺が基で殺されたことになる)




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