不完全な完全犯罪・霊感探偵瑞穂誕生【完全版】
 「みずほね。ビンタした後で、物凄く衝撃受けたんだって。そして気付いたんだって、ずっと意識していたことを」


「でも……その後も俺、ずっとビンタされ続けていたけど」


「恥ずかしがったみたい。みずほも女の子だからね」

有美がみずほの恋を語ってる。
俺は心地よいおとぎ話を聞いているかのように、うっとりとしていた。


「だからみずほ……」

有美は急に涙ぐんだ。


「だからみずほ、思いっきり愛そうって決めたんだって。きっかけは私と彼氏だったらしいけどね」


「そういやーみずほ言ってたな。有美に勇気を貰ったって」


「ほら彼氏ってエースじゃない。周りがうるさくて。でもストレートに言ってみたの『大好きだから付き合って下さい』って」


「でも彼氏も陰で言ってたよ『ずっと気になっている』と」


「えっホント!? マジヤバい! 泣いちゃうよ」
有美はそう言って本当に泣き出した。

俺は……
有美が物凄く羨ましくなった。

だって……
悲しい時には勿論、嬉しい時にも泣けるだもん。




 泣いたり笑ったり、くるくる表情を変える有美。


(――ヤベー。こいつマジ可愛い!)
俺は興奮していた。


(――イケねー。みずほに対して不謹慎だった!)

俺はドキマギしていた。


まさか、まさか。
有美がこれほど魅力的だったとは。


プロリーグからお呼びがかかる程の技を持った校内一のエースが惚れ込むだけのことはある。

俺はマジで思っていた。


有美はもう一度手鏡を出した。
そして鏡越のウインクをくれた。


「みずほの気持ちが良く解る。実は……」
有美はそう言いながら勿体ぶる。


俺は次の言葉を待った。




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