不完全な完全犯罪・霊感探偵瑞穂誕生【完全版】
 橋本翔太。
この前の交流戦で大活躍をしてレギュラーの座を取った。

俺は俺なりにエールを送っていたんだ。

良く頑張ったなと――。


でもそれにはこんなカラクリがあったのか。

橋本翔太とは、中学時代良く戦った。
同じ年だった。


中学時代から注目を集めていた二人は、良くライバル視されていた。


小学生時代は市のF.C仲間だった。

実は俺達は東京で開催された、全国大会にも出場する位の実力のあるFCの出身でもあったのだ。




 怒りがこみ上げて来る。


俺をレギュラーにさせないために……

ただそれだけで岩城みずほが選ばれた。


だからみずほの携帯でメールを打ったのか?

あの胸の痣は、みずほが俺に殺しだと知らせるためだったのか?


殺されたのに、自殺扱いだなんて……

みずほにとっては耐えられなかったのだろう。


だから、このコンパクトを使って……
俺に真相を伝えようとしたのか?


(――そうか……
やっと解った……全てはみずほの意志だったんだ)


俺は岩城みずほがどうしようもなく愛しくなった。

でも、もうみずほは此処には居ない……


(――みずほゴメン……)

頬につたわる涙をどうすることも出来ずに、俺はただ其処にいた。


その時俺は気付いた。

又泣いている自分に。


俺は今まで涙を流していなかったのだ。

だから、又止まってしまったらどうしようと思っていたのだった。




< 53 / 122 >

この作品をシェア

pagetop