不完全な完全犯罪・霊感探偵瑞穂誕生【完全版】
集団心理を巧みに利用した計画的殺人。
キューピット様の名前を借りて……
自殺させようとして、追い詰めたのだろうか。
では、みずほは何時言ったのだろうか?
『助けてー!!』
と……
携帯はその後で奪われたのか?
それとも……
みずほが堕ちて来る所で待っていて……
だから取り上げることが出来たのだろうか?
屋上にいるクラスメートに自殺の名を借りた殺人をさせておいて。
でも……
それにしては携帯はキレイなままだった。
俺は有美を自宅まで送ってから、イワキ探偵事務所を訪ねた。
大通りから一本、中に入った道。
古い木造アパートの二階。
東側の窓に手作り看板。
《イワキ探偵事務所》
はあった。
借りてたワンピースを脱いでシャワーを浴びる。
悪夢を忘れようと頭をかきむしる。
それでも、周りに飛び散らないように気を遣う。
小さな浴室の窓を月明かりが照らしていた。
(――俺のせいでみずほは死んだ!
――俺がレギュラーを狙ったために……
――俺がみずほを好きになったせいで……)
後から後から涙が溢れる。
今まで泣けなかった分も一緒に……
(――町田百合子はきっと橋本翔太のためだろう。
――そして福田千穂は、みずほから俺を奪うのが目的で……)
そのためにみずほがクラスメートの餌食にされた。
その事実を岩城静江にどのように伝えれば良いのか。
俺は考えあぐねていた。
小さなバスタブに身を屈めて入る。
涙が波紋となって広がった。
一度泣くと癖になるのだろうか。
涙が後から後から止まらなくなった。
バスタブが溢れてしまうのではないかと思った。
それ程悲しみが溜まっていた。
胸が引き裂かれそうになっていた。
恋人が殺されたと言うのに涙の一つも零さない、薄情な男だと思っていたから尚更なのだろうか。
(――みずほー!!)
声に出して叫びたい。
何もかもかなぐり捨ててみずほの元へ行きたい。
俺は生きて行くことが恐ろしくなっていた。
(――なあ、みずほ。
俺どうしたらいい?
――どうしたら有美を助けられる?
――どうしたら、千穂を説得出来る?)
俺はみずほに救いを求めていた。
月明かりの照らす小さなバスルーム。
今日の俺はなかなか其処から上がることが出来なかった。
湯が冷めていることにも気付かずに、俺は其処にいた。
キューピット様の名前を借りて……
自殺させようとして、追い詰めたのだろうか。
では、みずほは何時言ったのだろうか?
『助けてー!!』
と……
携帯はその後で奪われたのか?
それとも……
みずほが堕ちて来る所で待っていて……
だから取り上げることが出来たのだろうか?
屋上にいるクラスメートに自殺の名を借りた殺人をさせておいて。
でも……
それにしては携帯はキレイなままだった。
俺は有美を自宅まで送ってから、イワキ探偵事務所を訪ねた。
大通りから一本、中に入った道。
古い木造アパートの二階。
東側の窓に手作り看板。
《イワキ探偵事務所》
はあった。
借りてたワンピースを脱いでシャワーを浴びる。
悪夢を忘れようと頭をかきむしる。
それでも、周りに飛び散らないように気を遣う。
小さな浴室の窓を月明かりが照らしていた。
(――俺のせいでみずほは死んだ!
――俺がレギュラーを狙ったために……
――俺がみずほを好きになったせいで……)
後から後から涙が溢れる。
今まで泣けなかった分も一緒に……
(――町田百合子はきっと橋本翔太のためだろう。
――そして福田千穂は、みずほから俺を奪うのが目的で……)
そのためにみずほがクラスメートの餌食にされた。
その事実を岩城静江にどのように伝えれば良いのか。
俺は考えあぐねていた。
小さなバスタブに身を屈めて入る。
涙が波紋となって広がった。
一度泣くと癖になるのだろうか。
涙が後から後から止まらなくなった。
バスタブが溢れてしまうのではないかと思った。
それ程悲しみが溜まっていた。
胸が引き裂かれそうになっていた。
恋人が殺されたと言うのに涙の一つも零さない、薄情な男だと思っていたから尚更なのだろうか。
(――みずほー!!)
声に出して叫びたい。
何もかもかなぐり捨ててみずほの元へ行きたい。
俺は生きて行くことが恐ろしくなっていた。
(――なあ、みずほ。
俺どうしたらいい?
――どうしたら有美を助けられる?
――どうしたら、千穂を説得出来る?)
俺はみずほに救いを求めていた。
月明かりの照らす小さなバスルーム。
今日の俺はなかなか其処から上がることが出来なかった。
湯が冷めていることにも気付かずに、俺は其処にいた。