不完全な完全犯罪・霊感探偵瑞穂誕生【完全版】
俺は先生を見た。
先生は松尾有美をしっかりと保護していた。
(――先生ごめん……
俺どうかしてた)
どうして俺は、先生が逃げたと思ったのだろう?
それはきっと焦りまくっていたからだ。
(――結局俺はまだ半端者だと言うことか?)
先生は教師と言う立場を守ろうとしたのだろうか?
それとも……
でも、俺は残念だった。
その心構えで、本当はみずほも守って欲しかった!
今更遅過ぎるけど……
有美はまだ泣いていた。
よっぽど怖い思いをしたのだろう。
顔は蒼白で、体はガタガタと震えていた。
(――みずほもきっと……
――みずほもきっとああなったはずだ。
俺はあの日、みずほを助けられなかったことを物凄く後悔していた。
だから有美が助かったことに安堵もしていた。
「先生松尾を頼みます!」
俺が言うと先生は小さくガッツポーズをした。
(――良かった……
ひとまず安心だな)
俺は安堵の気持ちと裏腹に、百合子と対峙しなくてはいけない時が来たと思った。
「辞めてー!」
千穂が叫んだ。
その声に気付いて俺が千穂を見た時……
千穂はみずほのコンパクトから現れたであろう邪悪な塊に体を乗っ取られていた。
「そっちはイヤーー!」
声にならない声で必死に叫ぶ千穂。
次第に屋上の一番端に向かっていた。
千穂は踏ん張る。
でも所詮か弱い女の子だった。
千穂は保育園時代から変わらない眼差しを俺に向けていた。
それは何時も傍に居ながら気付かなかった、俺への愛に溢れていた。
俺は本当に千穂に愛されていたんだ。
その時俺は気付いた。
罪は俺にあると言うことに。
「千穂!」
俺は百合子の手を振り切って、千穂の腕を掴もう駆け寄った。
もう少しで届こうとした時に、百合子が俺を追って来た。
強引にでも俺を墜とす気らしい。
顔が般若の面のように引きつっていた。
百合子の両腕が腹部に巻き付く。
それでも俺は千穂を助けようと少しずつ歩み寄った。
でも千穂は俺の差し出した手を拒んだ。
そしてその手を百合子に向けた。
「千穂!?」
百合子が慌てていた。
「磐城君……」
千穂の目に涙が溢れる。
そして……
町田百合子と千穂が屋上から堕ちていった。
先生は松尾有美をしっかりと保護していた。
(――先生ごめん……
俺どうかしてた)
どうして俺は、先生が逃げたと思ったのだろう?
それはきっと焦りまくっていたからだ。
(――結局俺はまだ半端者だと言うことか?)
先生は教師と言う立場を守ろうとしたのだろうか?
それとも……
でも、俺は残念だった。
その心構えで、本当はみずほも守って欲しかった!
今更遅過ぎるけど……
有美はまだ泣いていた。
よっぽど怖い思いをしたのだろう。
顔は蒼白で、体はガタガタと震えていた。
(――みずほもきっと……
――みずほもきっとああなったはずだ。
俺はあの日、みずほを助けられなかったことを物凄く後悔していた。
だから有美が助かったことに安堵もしていた。
「先生松尾を頼みます!」
俺が言うと先生は小さくガッツポーズをした。
(――良かった……
ひとまず安心だな)
俺は安堵の気持ちと裏腹に、百合子と対峙しなくてはいけない時が来たと思った。
「辞めてー!」
千穂が叫んだ。
その声に気付いて俺が千穂を見た時……
千穂はみずほのコンパクトから現れたであろう邪悪な塊に体を乗っ取られていた。
「そっちはイヤーー!」
声にならない声で必死に叫ぶ千穂。
次第に屋上の一番端に向かっていた。
千穂は踏ん張る。
でも所詮か弱い女の子だった。
千穂は保育園時代から変わらない眼差しを俺に向けていた。
それは何時も傍に居ながら気付かなかった、俺への愛に溢れていた。
俺は本当に千穂に愛されていたんだ。
その時俺は気付いた。
罪は俺にあると言うことに。
「千穂!」
俺は百合子の手を振り切って、千穂の腕を掴もう駆け寄った。
もう少しで届こうとした時に、百合子が俺を追って来た。
強引にでも俺を墜とす気らしい。
顔が般若の面のように引きつっていた。
百合子の両腕が腹部に巻き付く。
それでも俺は千穂を助けようと少しずつ歩み寄った。
でも千穂は俺の差し出した手を拒んだ。
そしてその手を百合子に向けた。
「千穂!?」
百合子が慌てていた。
「磐城君……」
千穂の目に涙が溢れる。
そして……
町田百合子と千穂が屋上から堕ちていった。