不完全な完全犯罪・霊感探偵瑞穂誕生【完全版】
辛うじて俺は助かった。
先生と松尾有美のことが心配になって振り向いた。
その時俺は見た。
俺を守るために、みずほの霊が背中に抱き付いているのを。
「みずほ……」
俺はみずほのセクシーな唇に唇を重ねた。
そしてみずほを思いっきり抱き締めた。
でも……
みずほの霊は俺の腕の中で消えていた。
「みずほーー!」
俺はがっくりと膝を付いた。
(――もしかしたら……
腹部に巻き付いた百合子の手を引き離すために)
俺の胸部に……
背中に……
みずほの優しさを感じた。
温もりを感じた。
でもそれと同量の……
千穂を助けてやれなかった後悔を、この手のひらに感じていた。
(――もう少しで……
もう少しでこの手が届いたはずなのに)
俺はそのまま……
其処から動けず……
虚しさだけが、体中を駆け巡っているのを感じながらただ呆然としていた。
邪悪な塊はまだ其処にいた。
俺は千穂と一緒に墜ちたものだと思っていた。
だから俺は気を緩めてしまっていた。
(――何故だ?
――何故二人なんだ。
――三連続なら一人の筈ではないのか?)
俺は疑問点をソイツにぶつけた。
その問いにソイツが答えた。
『あいつらは何か勘違いしたのさ。松尾有美の父親は三番目だった。だから又岩城みずほから始まったんだよ』
と――。
俺は暫くポカーンとしていた。
何が何だか解らなくなっていた。
もう一体の邪悪な者は、今何処をさ迷っているのだろうか?
そんなことを考えていた。
その時、コンパクトが温かくなった。
それは俺を救ってくれたみずほの愛だった。
みずほのコンパクトに居たのは邪悪な者ではなく、みずほの悲しみの塊だったのだ。
もう俺に逢えない辛さが産み出したのだ。
だからあの時俺に取り憑き、護ってくれたのだ。
背中に抱き付いて、俺を助けてくれたのはみずほのコンパクトが産み出した優しさだったのだ。
俺はコンパクトを開け、それを見つめた。
百合子が赤い口紅で書いた……
《死ね》
という文字を。
先生と松尾有美のことが心配になって振り向いた。
その時俺は見た。
俺を守るために、みずほの霊が背中に抱き付いているのを。
「みずほ……」
俺はみずほのセクシーな唇に唇を重ねた。
そしてみずほを思いっきり抱き締めた。
でも……
みずほの霊は俺の腕の中で消えていた。
「みずほーー!」
俺はがっくりと膝を付いた。
(――もしかしたら……
腹部に巻き付いた百合子の手を引き離すために)
俺の胸部に……
背中に……
みずほの優しさを感じた。
温もりを感じた。
でもそれと同量の……
千穂を助けてやれなかった後悔を、この手のひらに感じていた。
(――もう少しで……
もう少しでこの手が届いたはずなのに)
俺はそのまま……
其処から動けず……
虚しさだけが、体中を駆け巡っているのを感じながらただ呆然としていた。
邪悪な塊はまだ其処にいた。
俺は千穂と一緒に墜ちたものだと思っていた。
だから俺は気を緩めてしまっていた。
(――何故だ?
――何故二人なんだ。
――三連続なら一人の筈ではないのか?)
俺は疑問点をソイツにぶつけた。
その問いにソイツが答えた。
『あいつらは何か勘違いしたのさ。松尾有美の父親は三番目だった。だから又岩城みずほから始まったんだよ』
と――。
俺は暫くポカーンとしていた。
何が何だか解らなくなっていた。
もう一体の邪悪な者は、今何処をさ迷っているのだろうか?
そんなことを考えていた。
その時、コンパクトが温かくなった。
それは俺を救ってくれたみずほの愛だった。
みずほのコンパクトに居たのは邪悪な者ではなく、みずほの悲しみの塊だったのだ。
もう俺に逢えない辛さが産み出したのだ。
だからあの時俺に取り憑き、護ってくれたのだ。
背中に抱き付いて、俺を助けてくれたのはみずほのコンパクトが産み出した優しさだったのだ。
俺はコンパクトを開け、それを見つめた。
百合子が赤い口紅で書いた……
《死ね》
という文字を。