不完全な完全犯罪・霊感探偵瑞穂誕生【完全版】
 俺は何時の間にか泣いていた。
まだまだ事件は終わっていないことに気付いて。

叔母さんの事件も有美の事件も、みんな未解決のままだったのだ。


それにこの事件……


(――ゴールドスカルの中の意識が本当だとしたら、ストーカーは目の前にいるコイツしかいない!!

――コイツがあの時のストーカーなのか?

――帽子を目深に被って犯行に及んだ、木暮の兄貴の首を落とした犯人なのだろうか?)


ゴールドスカルの中の意識。
それはきっとダイイングメッセージに違いない。
俺はそう思った。




 その意識が俺に向けられたものではないこと位百も承知だ。
でも、それを伝えられる霊感を持ったこと。
それを生かすかどうかは俺の判断に任されたと思った。

木暮悠哉の兄のことは丸っきり解らない。
ましてや、目の前にいる彼のことも知るよしもなかったのだ。




 あの時。
俺がスキンヘッドに動揺していることは明らかだった。


それはが何なのか今はっきりした。


それがこの男性とどう結び付くのかはまだ判断は付かない。


でも俺は、やっとたどり着けたのだ。
俺の疑問の発祥箇所に。


それが、何なのか判らない。


でも、とてつもなく大きなことだと言うことだけは明らかだった。




 (――ボーンヘッド?

――確か野球用語で凡ミスのことだったよな?)
俺はわざと気持ちを変えた。
そうでもしないと、此処に居られないと思った。


(――ボーンって骨?

――だよな?

――ヘッドって頭?

――骨の頭……、ってゆうと髑髏?)


改めて俺の前にいる神妙な顔をしていスキンヘッドの男性を見てみた。


(――それにしてもこの頭は?)

俺はこの奇妙な偶然を、何故か笑いたくなっていた。


だって俺の前にいる男性が、余りにもハマり過ぎていたからだった。


俺にはこの男が、そんな犯罪に手を染めるヤツにはどうしても思えなくなっていたのだ。




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