不完全な完全犯罪・霊感探偵瑞穂誕生【完全版】
 でも本当はみずほに対する照れ隠しだった。

まだまだ遣らなければいけないことばかりなのに、こんなことをしている場合ではなかったのだ。


(――こんなことか?)

それは、依頼人の彼女の写真にときめいた失態かな?

そうなんだ。
俺は有美にもときめいたんだ。

サッカー部のエースの彼女だと知りながら。


(――それにしてもあの時の有美は可愛かったな?

――あぁ言うのが小悪魔って言うのかな?

――俺だって惑わされたんだ。

――きっと他の男性もメロメロさ。

――ありゃ、又だ……

――みずほごめん。
愛しているのはお前だけだよ)

俺はみずほのコンパクトにそっと触れながら謝っていた。




 仕事の依頼はやはり浮気調査だった。
彼女が最近おかしいと言うのだ。


彼はロックグループのボーカルだと言った。


(――えっー!?)
俺は震え上がった。

さっきゴールドスカルによって垣間見た、木暮兄の記憶がよみがえっていた。


(――えっ、ロックグループのボーカル!?)

それと同時に違う記憶もよみがえっていた。


(――あー、もしかして?)

俺は思い出していた。
近頃売り出し中の奇妙キテレツなパフォーマンスユニットを。
グループ名・爆裂お遊戯隊。

今流行りのエアーバンドだった。




 「あのぅ、もしかしたらですが……、爆裂お遊戯隊の……」

そう彼は其処のリーダー兼ボーカルのボンドー原っぱだったのだ。


「すいません。さっきからずっと考えていました。不愉快な思いをなされたのではないですか?」

俺は精一杯丁寧に謝った。

だって俺、ツルツル頭がどうしょうもないほど気になってたんだ。


爆裂お遊戯隊。

メンバー全員が、ボン何とかーと言う名前を付けていた。
爆裂のボンバーからとったらしい。
リーダーは引き付けるボンドから。
そう聞いていた。





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