外道武士
そして現在。

「許せないよな…」

猛流はゴーストタウンとなった港町の入り口に立つ。

春だというのに、凍て付く港町。

そこに轟く世迷いどもの声。

闇の到来を報じるサイレンのようにも聞こえる。

生命の輝きを感じさせない淀んだ眼球が、それでも夜闇の中で鈍く光る。

「させるかよ…」

猛流はスラリと刀を抜いた。

人面疽が痛む。

だが、命続く限り。

「『闇の者』は俺が狩る…一匹残らず俺が狩る…!」

切っ先から鍔元まで、刃を銀の指輪に滑らせる。

< 107 / 150 >

この作品をシェア

pagetop