外道武士
「!!」

永久子の手の甲に、独鈷を突き立てた。

堪らず手を放す永久子。

慈空は素早く距離をとり、振り返る。

シャン…と。

錫杖の清浄なる音が、深夜の工事現場に響き渡る。

「男ばっかり呪い殺すんだってぇ…?」

慈空は『両の眼』を細める。

「おめぇさんの事は、ちょいと調べさせてもらった…父親とも不仲だったらしいじゃねぇか…んでもって好きな男の一人も出来ないうちに、また『男』…てか餓鬼どもに犯し殺されて…そりゃあ男は全部呪い殺したくもならぁな…」

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