外道武士
これまで猛流が狩ってきた『黒の者』と違い、今回の標的は所在がはっきりしていなかった。

夜の街を徘徊し、女性を捕らえる『黒の者』。

早急に狩らねば幾らでも被害は広がるし、虱潰しに探すほど余裕はない。

故に、猛流はもう一つの装飾品を使う事にする。

左手の指輪同様に、いつも身につけている銀の首飾り。

禁忌の術の力を封じ込めた曰く付きの一品だ。

『黒の者』と同質の力である禁忌の術の力。

両者は共鳴し、近づけば近づくほどその反応も大きくなる。

その性質を利用した探知機のようなものだった。

…所在は容易く嗅ぎ付けられる事となる。

深夜の立体駐車場。

無言のまま、猛流は中に踏み入る。

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