外道武士
全身に鎖を巻きつけ、血走った眼と下卑た笑みを乗せた顔で猛流を見る『黒の者』。

鎖は女性を監禁する象徴、その表情は男の傲慢さを表している。

歪んだ欲望がそのまま『黒の者』として具現化した典型的な例だ。

刀を左手の指輪に滑らせ、青白い炎を纏わせる猛流。

再び鎖を放った『黒の者』の攻撃を、今度は廻し蹴りで弾き、体勢を立て直すと同時に突進、横薙ぎの刃を叩きつける!

これをピンと両手で張らせた鎖で受け止める『黒の者』。

鍔迫り合いの状態になった所で。

「!」

『黒の者』は口腔内から鎖を吐き出す!

体内にも鎖を仕込んでいるとは。

仰け反って回避した猛流は、バック転しながら間合いを取る。

距離を置いての戦闘は不利。

しかしこの『黒の者』は、容易に間合いに踏み込ませる隙を与えない。

…その時だった。

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