外道武士
追い詰められた。

袋小路にはまってしまった『黒の者』。

壁を前に狼狽する彼は、背後に猛流が迫ってくるのを見るや。

「ぎぎぎぎぎっ…」

背を向けたまま、首を180度回転させる。

人間の姿に擬態しながら、人間では有り得ない首の可動域。

そのまま手を、足を、地面につけて四つん這いになる。

ちょうどブリッジした姿。

仰け反った四つん這いとでも言えばいいだろうか。

そんな不可解な姿勢のまま。

「――――――っ!」

耳元辺りまで裂けた口で、牙を剥き出しにして、『黒の者』は吠える!

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