外道武士
牙を剥き、唸りを上げる『黒の者』。

猛流は手甲の隙間から覗く銀の指輪に刃を滑らせる。

切っ先から鍔元まで、青白き炎を纏わせる。

「――――――――!」

それでも咆哮し、恐れをなさない辺り、この『黒の者』は相当な剛の者といえた。

それこそあの無名と同等と呼べるかもしれない。

しかし。

「その程度の禁忌の力じゃ、俺は殺せない…永久子」

猛流が永久子の名を呼ぶ。

同時に具足に漲る禁忌の力。

猛流は素早い廻し蹴りで、突進してくる『黒の者』の顔面を蹴り上げる!

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